おかしな二人


「なっ、なんもしとらんわっ! かっ、壁の染みがちょっと気になっただけやろがっ」

だけやろがっ。と言われましても……。

水上さんは慌てたように立ち上がると、テレビもつけたままそそくさと寝室へ引っ込んでしまった。

あれは、完璧に聞いてたよね。

あたしは、頬をヒクヒクさせながら寝室のドアに目をやった。

左手に握られた携帯からは、たこ焼きのタコ君がブラブラと踊るように揺れていて、あたしはそれをぴんっと弾いて一言。

「壁の染みって、どれよ」

まっさらで綺麗な壁紙には、もちろん染みなどありはしなかった。


< 297 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop