おかしな二人
「明も飲めばいいのに」
「そんなわけにいかないでしょ。これから仕事だっていうのに、頭朦朧として失敗しちゃってもいいなら別だけど」
「だよな」
凌は、納得という顔でクスリと笑うと、グラスに手をやり琥珀色の液体をひと口喉へと流し込む。
「座れよ」
L字型になったソファの、長い部分に座っていた凌があたしを促す。
あたしは、その対角にある二人掛けのソファに腰を下ろした。
その距離に、凌がほんの少し顔を顰めた。
「遠いな」
確かに、会話をするには遠いかもしれないけれど、かといって、L字の短いほうに腰掛けて凌の傍っていうのもおかしな気がした。
まして、隣に座るのは、もっとおかしい。
兄妹で、いちゃこらしても仕方ないわけだしね。
凌の傍へ座るのは、お仕事の彼女がやって来てからで充分だろう。