おかしな二人
「どうぞ」
紳士的な振る舞いで、その男性があたしを凌の前へと案内する。
「よっ」
「うん」
凌が座るテーブルの前には、大きな氷の入ったグラスが置かれていた。
「飲んでるの?」
「ん? 少しだけな……」
静かに応える凌は、ふざけた感じが一つもなくて、彼らしからぬ雰囲気を漂わせていた。
そんな風にいつもと違って見えるのは、ほの暗いここの雰囲気のせいもあるのかもしれない。
「コートをお預かりします」
丁寧に言われ、あたしは慌てて水上さんに買ってもらったコートを脱ぐ。
「何か、お飲みになられますか?」
先ほどの男性が、預けたコートを手に、立ったままのあたしへ訊ねる。
「あ、えーっと。いいえ、大丈夫です。……あ、お水だけいただけますか?」
「かしこまりました」
微笑を浮かべて、男性は下がっていった。