おかしな二人


「けど、時間が経てば経つほど、明のことが気になって、結局探さずにはいられなかった。家に連絡したけど、既に電話は使われていないし。実際行ってもみたけれど、もうそこには別の家族が住んでいた。明が通っていた高校のクラスメイトにも連絡したし、もちろん担任の先生にも訊いた。近所のオバちゃんや、よく買い物に行ってた八百屋のオヤジにまで訊ねたよ。けど、全く消息がつかめなくて」

あは、だろうね。

だって、学校に通っていた時は、クラスに友達作る余裕もないぐらいバイトに明け暮れていたし。
担任なんて、頼れるような雰囲気の先生でもなかったから、自分でなんとかしなきゃって生きてきた。

父さんが死んでからは、今までの全部を白紙に戻したくなって町からも離れた。

高卒で就職できるのなんて、高が知れている会社ばかりで。
なのに、副業でのアルバイトは禁止の会社ばかり。
しかも、手取りで十六万円そこそこじゃあ、どう見積もっても借金なんて返していけない。

仕方なく、詰め込めるだけ詰め込んだスケジュールでバイトをこなすより他なかった。

おかげで、何とか利息分くらいは余裕を持って返していたけれど、借金の額は思うように減ってはいかない。


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