おかしな二人
「あたしが、どれだけ厭な思いしてたとおもってんのよっ。背中に昆虫入れられるし、噛み付きグセのある犬に近寄らせたり、ネクタイの練習なんて言って首絞めるし。まだまだ、いっぱいあるんだからっ。極めつけは、キ、キ、キ……」
先の言葉を言い淀むと、凌が小首を傾げる。
「き?」
キスまでしやがってっ! と怒鳴りそうになって、グッとそれを飲み込んだ。
「やめたっ。口にするのもおぞましい記憶だから、封印する!」
「なんだよ、それ」
凌は、あたしの言葉を聞いてクツクツ笑う。
「笑うなっ!」
「ごめん、ごめん。あんまり真剣になって怒るから、可笑しくなっちゃったよ」
そういうと、また笑い出した。