おかしな二人
その空気を和らげるかのように、静かにBGMが流れ出した。
岸谷さんの、気遣いだろう。
それは外国の音楽で、曲調が明るめのわりに歌詞は切ないものだった。
―― 君にそんな顔は、似合わないよ
いつだって君は、笑っていたじゃないか
僕がつられてしまうくらいに
いつもにこやかに、そして大らかに
その涙は、僕のせいなんだね
月夜に光るその雫 まるで君の心のように純粋で綺麗だ
なのに僕は、もう君を愛せない
もう、君を愛せない ――
繰り返し歌われる最後の歌詞が、今の奈菜美さんには聴かせたくない、と思ってしまうほどになんだかとてつもなく切なかった。
岸谷さんが気遣いで流したはずのBGMは、余計に切なさを膨張させてしまった。
けれど、気付いているのかいないのか、奈菜美さんはただ黙って凌を見つめるだけ。
その目が、凌を愛しいと、見つめつづけるだけ。