おかしな二人
奈菜美さんは、穏やかな表情のまま、目の前のカップへ手を伸ばす。
その仕草は、カップを持つ手にも添える手にも、小さな頃から習慣付けられたような洗練さがあった。
きっと、いい所のお嬢様に違いない。
あたしは、せいぜい貧乏育ちが出ないよう気をつけなきゃ、と身を引き締める。
「話は、解っていると思うけど……」
凌が、節目がちに切り出した。
「うん……」
奈菜美さんは、凌の言葉に静かに頷くも、それ以上の言葉を発しない。
何かを言ってしまえば、すぐに終わってしまう。
もう少しだけでも、時間が欲しい、と言うように口を閉ざす。
重苦しい沈黙が降り、あたしはその空気に耐えられなくなっていく。
そんなあたしの気持ちに気付いたように、腰に添えられていた凌の手が、ギュッと膝の上で握られていたあたしの手に覆いかぶさった。
凌の大きな手が安心させるように、あたしの手を包み込む。
けれど、空気は以前膠着状態。
誰も口をきかず、ただ押しつぶされそうな空気に耐えているだけ。