おかしな二人


凌と二人バーから外へ出ると、すっかり陽も暮れ街灯の灯りが辺りを照らしていた。

「悪かったな」

少し落ち着いた凌が、タバコを取り出しながら呟く。

「仕事だから」

あたしは、夜の闇に負けないよう明るく応えた。

「そっか……」

凌は、ふっと力の抜けたような笑顔を零すと、カシュッと音を立ててライターを灯す。
取り出したタバコの先端が、一瞬赤く光った。

一口肺に吸い込み、大きく煙と共に息を吐き出すと、凌は点けたばかりの火を電信柱でもみ消し、携帯用の灰皿へと入れた。
それから、何かを考えるようにアスファルトを見つめる。


< 326 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop