おかしな二人


「あの、凌――――」

あたしの呼びかけに、ゆっくりと凌が顔を上げる。

「あかり」

すると、凌が被せるように真剣な表情であたしの名前を呼んだ。
その瞳は、街灯に照らされているせいか、ゆらゆらと光る水面のよう。

「あれ、本当なんだ」
「あれ?」

あたしは、凌がなんの事を言っているのか分からず続きを待った。

「ずっと想っていた相手と、もう一度再会できたってやつ」

奈菜美さんへの別れ話ででっち上げた事だ。

それが、事実?

あたしは、少し驚きながらも相槌を打つ。

じゃあ、本当に想い人と再会をしたって事なんだね。
そして、奈菜美さんよりも、その相手を選んだ……。


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