おかしな二人
何がどうなったのか、理解するのに時間が掛かった。
ほんのりとする香水の匂い。
さっき吸ったタバコの香り。
寒さが和らぐ体温。
あたしの体は、凌の腕の中にあった。
しっかりと抱きしめられ、胸の中に納まっていた。
なに、これ……。
思考は、壊れたロボットみたいに働かない。
ただ、頭の後ろに凌の大きな右手があり、腰には左手が添えられている。
あたしは、何も考えられないぼうっとした頭で、凌の体越しに通りの先を見つめた。
たくさんの人が、行きかっている。
けれど、誰もあたしたちの事など気にも留めない。
一瞬チラリと見る人はいても、またすぐに目を逸らし自分の目的地へと歩を進めて行く。
誰もかれも、夜にバーの前で抱き合っている男女など、珍しくもないと通り過ぎて行く。
いや、酔っ払ったカップルなんて見たくもないと、嫌悪を抱いて目を逸らすのかもしれない。