おかしな二人


「別に構わんし……。あかりに男がおっても、俺には、関係……あらへんし……」

そう、冷たく突き放された瞬間、心が酷く痛んだ。

何か、とてつもなく鋭いもので、一気に胸を突き破られたみたいに呼吸ができなくなる。

苦しくて、痛くて、でも、それがなんの痛みなのかちっとも解らなくて、あたしはただ俯くより他ない。

何も応えられず、俯くあたしを置いて水上さんが歩き出した。
あたしは、項垂れたまま、また離れていく彼の背中を目で追った。
一歩一歩離れていく彼の背中を、ただ痛みを抱えて見ているだけ。

なんでこんなに、痛いんだろう……。

今まで、どんなにつらいことがあったって、こんな風な痛みなど感じたことはなかったのに。
凌に苛められたって、母が亡くなったって、借金を山ほど背負わされたって、ちっともつらくなかったのに。

何で、こんなに胸が苦しいの……。

涙なんて、もうずっと流した事なんかなかったのに、知らず涙腺が緩む。
喉の奥が熱くなって、視界がほやけてゆく。


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