おかしな二人
気がつけば、あたしは心細さに霞む水上さんの背中へ向って零していた。
「……えいじ」
雑踏の中、それはさっきまでとは真逆のかき消されてしまうほどの小さな呼び声だった。
情けなく小さな声を零すあたしは、本当にただのみすぼらしい女でしかない。
どうしようもなく、惨めで滑稽だ。
項垂れ、吐いた溜息は、真っ白な霧に変り、あたしの視界を覆う。
「えいじ……」
縋りつきたいほどに寂しくなってしまったあたしの口から、もう一度消え入りそうな声が自然と零れでた。
同時に、頬に冷たいものが流れ落ちる。