おかしな二人


「もしかしたら、それが復活したのかも……」
「なんや、ようわからんは。抱き合っていたのと、いじめがちっとも繋がらんし」

どうしてわかってくれないのよっ。と、他人がわかる筈もないのに、イラッとしてつい口が滑ってしまった。

「ですからっ。あたしは、昔苛められて、凌にキスされたんですっ!!」

勢いというのは、恐いもので。

一生誰にも言うまいと思っていた苦い思い出を、やすやすと口にさせてしまう。

はっ! としたときには、もう遅い。

「キ……ス?」

う゛う……。
水上さんに、ばれてしまった。
凌にキスされたことが、ばれてしまったぁー!!

今なら、悪さがばれてしまったまるちゃん並に、顔に斜線がいくつも入っていることだろう。
影では、野口さんが細い目をして、クックックッ、と笑っているかもしれない。

それにしても、穴があったら入りたいとは、まさにこのこと。
人生最大の汚点を、ここで曝け出してしまうなんて。
赤面通り越して、羞恥で自殺でもしそうだ。


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