おかしな二人
「よお」
凌はグラスを掲げ、あたしに向かって短い挨拶をする。
テーブルの上には、チーズの盛り合わせと蝋燭の炎が慎ましく揺れていた。
「飲んでるんだ」
「ここ、バーだしな」
「そうだけど」
もっともな事を言われたあと、あたしは斜向かいのソファに腰掛けた。
「だから、その席遠いって」
「今日は、恋人のフリするわけでもないんだから、別にいいじゃん」
素っ気無くあしらっていると、岸谷さんが注文を訊きに来る。
「ご注文は、何にしますか?」
「えっとぉ」
考えていると、同じ物を。なんて、凌が勝手に注文しちゃう。
岸谷さんは、一応視線だけで、よろしいですか? とあたしを見る。
考えるのも面倒なので、首を縦に振った。