おかしな二人


少しすると、グラスワインが運ばれてきて、目の前に置かれる。

「ごゆっくりどうぞ」

控えめな微笑を残し、岸谷さんは下がっていく。

「メリークリスマス」

グラスを持ち上げた凌が、あたしに向って言った。
釣られるように、たった今目の前に置かれたグラスをあたしは持ち上げた。

「メリー……クリスマス……」

同じように口にしてみたけれど、なんだか気恥ずかしい。

凌と、こうしてクリスマスを祝うなんて、本当に幼い時にしたきりだ。
しかも、ケーキを競うように食べる、という子供ならではのクリスマス以来。

だから、こんな風に雰囲気のあるところで、アルコールを口にしながら祝うクリスマスなんてなんだかとても不思議な感じがする。

あたしは、ワインをひとくち口に含み、体の中を瞬時にアルコールが巡っていく感覚を味わう。

水上さんと飲んだワインも美味しかったけれど、このワインもかなりいける。
凌が選んだワインだから、高価なものなのかもしれない。


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