おかしな二人
どうしてこんなことに、なってしまったんだろう。
ただの兄妹だと思っていたのに。
ただ、いじめの対象になっているだけだと思っていたのに。
その裏側には、凌の思いもしない感情が大きくなって潜んでいた。
凌は、どんな想いであの頃の時を過していたのだろう。
そして、どんな想いでこの数年を生きてきたのだろう。
どんな気持ちで、あたしの事を想って来たのだろう……。
その重さを量る術はないけれど、以前バーの前で、好きな人と一緒になるのは難しいだろうな。と零した言葉に、きっととてつもない切なさが渦巻いていたはずだと感じた。
あたしはといえば、ほんの少しもその気持ちに気付かなかった愚か者だ。
お互いの両親が結婚しなければ、こんなことにはならなかったのだろうか?
今更そんな事を考えても無意味だろうけど、考えずにはいられない。
凌は、どこからこのたどり着くことのできない道を歩く事を選んでしまったんだろう。
どうしてあたしを、その道の道標にしてしまったんだろう。