おかしな二人
帰る家がないという現実は、今のあたしにとって無性に孤独を感じさせる。
今までもずっと一人で過ごしてきたけれど、英嗣と出逢って二人でいる温かさを知ってしまった今、この孤独感は耐え難いもののように感じた。
けれど、英嗣にはちゃんと家族がいる。
そんな彼を引きとめる権利などあたしにあろうはずもないのだから、英嗣が大阪へ帰ると言った時には、快く笑顔で送り出さなきゃ、と思った。
総ての準備を終え、夕方前には何もすることがなくなってしまった。
ぼんやりとリビングでテレビを見て、時折芸人の体を張ったギャグに声を上げて笑う。
迫り来る翌年をイヤでも感じさせようと、とあるテレビ局では、画面の隅にカウントダウンの数字が刻々と時を刻んでいた。
刻一刻と過ぎ行くその表示を見つめていたら、このままじゃいけない、と無性に気持ちがかき立てられてきた。
このまま、新しい年を迎え。
このまま、何もなかったように次の年を過し。
このまま、凌に背を向けて生きて行く……。
そんなわけには、いかない。
いかないよ……。