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駅のホームは閑散として掃除をしている駅員に見送られながら階段を降りた。
「あの…すみません」
知らない声に少し警戒気味に振り返ると車内にいた男の子だった。
「これ…落としましたよ」
左手で差し出されたのは、お気に入りのハンカチだった。
「すみません!ありがとうございます!」
車内での出来事…警戒気味に彼を見てしまった事に気恥ずかしさと申し訳なさで早口になった。
「あの…」
まだ何か言いたげな彼は続けてこう言った。
「よく落とし物されるんですか?(笑)」
「えっ?いえ…今日は、たまたま…本当にありがとうございました!
それでは…」
何だかこの場にいるのがいたたまれなくなってしまって話を打ち切るように背を向け足早に歩きだした。