花火
 

先生が私から離れる。


私は身体に力が入らなくて、目だけで先生の姿を追った。


あれ……?


先生、何でそんなに驚いた顔して……



「いや…………気のせいだな……そんなはず、ない」



先生の一人言に「え?」と思ったら、次は申し訳なさそうな顔に変わった。


……百面相してる……



「……っあー……、悪い……何やってんだ、俺っ」



「……!?」



いきなり頭を抱えた先生に、次は私が驚く番だった。


しかも、先生はブツブツと何かを呟いていた。


私はゆっくりと起き上がる。


ふと、先生の目線が私を向く。


先生と同じ目線の高さだ。



「……やり過ぎた。悪い。俺、バカみたいに余裕無さすぎるな……」



ペコ、と先生が頭を下げる。


こんなに取り乱した先生を見たことなんてなかったから、私はポカンとするしかない。

 
< 100 / 178 >

この作品をシェア

pagetop