花火
 

「……レノン」



「!」



その一瞬の表情を俺は見逃さなかった。


リンは明らかに戸惑った。


それが答えなんだろ?



「1ヶ月前くらいだったか?1階の渡り廊下を歩いてる時にリンとレノンの会話を聞いた。盗み聞きみたいで悪いと思ったけど…………一緒に住んでるんだろ?恋人、なんだろ?」



「ち、違……っ」



「じゃあ、あの会話は何?」



「……っ」



リンの困ったような表情を見て、終わりだと思った。


図星だ。



「……今日言おうと思ってた」



「!?」



「…………別れよう。リンも、その方がいいだろ?」



言ってしまった。


……俺は平気だから、と笑ってるつもりだけど、うまく笑えてるんだろうか?


目に写るリンは泣いてる。

 
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