花火
「……冗談、ですか?」
「え?」
さっきまでは恥ずかしそうに俺から目を反らすようにしていたのに、今は真っ直ぐと見つめられている。
「……どうなるかなんて私もわからないけど……。今想像した時に、私が大学生になっても、社会人になっても……その先も。私の隣にいるのは先生です」
「……」
「私だって、先生しかいません」
俺を真っ直ぐと見据える目は、決意に満ちていて。
俺を捕らえる。
「……悪い女だ」
「!」
「俺を夢中にさせるだけじゃなくて、将来まで決めさせるとか」
「っ、それなら、先生だって」
「それは最初からわかってたろ?俺は悪い男だよ。生徒に手を出すような、ね。でも、全身で愛すけど」
「!!!」
「覚悟は決まってるか?」
「~~っ!」
再び真っ赤に染まったリンの顔に、俺は笑った。
そして、少ししてから、リンはゆっくりと頷いて「覚悟、できてます、から」と途切れ途切れに呟いた。