花火
*+.。.+*.。.
「……ね、レノン」
居間のソファに座って雑誌を読んでいたレノンに声を掛ける。
私の声に振り返ったレノンの表情は最初は驚いていたけど、すぐに満面の笑みが浮かんだ。
「!リンから話し掛けてくれた!レイコ!僕、嬉しい!」
「ハイハイ。良かったわね」
「……いや、大袈裟でしょ?」
キッチンにいるお母さんに、子供のように嬉しそうに伝えるレノン。
子供をなだめるように、レノンを軽くあしらうお母さん。
そして、呆れる私。
この流れはレノンが私のパパになった時からずっと続くものだ。
レノンがこんな反応をするのには理由がある。
私は最初のうちは、殆ど自分からはレノンに話し掛けることはなかったから。
避けてたわけじゃない。
ただ、レノンのことが苦手だった。
……私の本性を見抜くような目をしていたから。