花火
 

*+.。.+*.。.


「……ね、レノン」



居間のソファに座って雑誌を読んでいたレノンに声を掛ける。


私の声に振り返ったレノンの表情は最初は驚いていたけど、すぐに満面の笑みが浮かんだ。



「!リンから話し掛けてくれた!レイコ!僕、嬉しい!」



「ハイハイ。良かったわね」



「……いや、大袈裟でしょ?」



キッチンにいるお母さんに、子供のように嬉しそうに伝えるレノン。


子供をなだめるように、レノンを軽くあしらうお母さん。


そして、呆れる私。


この流れはレノンが私のパパになった時からずっと続くものだ。


レノンがこんな反応をするのには理由がある。


私は最初のうちは、殆ど自分からはレノンに話し掛けることはなかったから。


避けてたわけじゃない。


ただ、レノンのことが苦手だった。


……私の本性を見抜くような目をしていたから。

 
< 161 / 178 >

この作品をシェア

pagetop