花火
 

私が学校だけではなく家でもいい子でいるのは、お母さんに迷惑を掛けたくなかったからだった。


お父さんは私が産まれてすぐ亡くなってしまったから、お母さんは私が小さい頃から、女手1つで私を育ててきた。


私以上に大変なことがたくさんあったはずで。


物心つく頃からそれがわかっていた私は、絶対に迷惑を掛けちゃいけない!私がお母さんを守らないといけないんだ!と、とにかくいい子でいるようになった。


レノンがパパになってからは、私がお母さんを守らなくてもレノンがいてくれるという安心感はあったけど、ずっといい子で過ごしてきた私は、それを崩すことはできなかった。


そのまま私は過ごしていたけど、レノンが「何を無理してるの?」と言った一言から、私は本当の私を暴かれるのが怖くて、レノンを避けるようになってしまったんだ。


でも、最近は特に、少しずつだけどレノンに近付く努力はしてる。


……そうしようと思えたのは、先生のお陰だ。

 
< 162 / 178 >

この作品をシェア

pagetop