花火

02

 

*+.。.+*.。.


あーだりぃ……。


週明けの月曜日。


俺は職場の自分の机に鞄を置いて、椅子に座る。



「おはようございます」



「あ、おはようございます」



挨拶をしてきた同僚に、笑顔で応える。


この朝一番の挨拶で、俺の中の仕事スイッチが入る。


……表向きの顔に変わるんだ。


 ・・
「先生、眠そうですね?」



「週明けは辛いものがありますよね」



「確かにそうですね、ふふっ」



お互いに笑い合う。


──そう。


表向きの顔=『高校教師』の顔、に。



「先生っ、おはようございます!」



後ろから聞こえてきた明るい元気な声に、俺は顔を向ける。


そこには朝からキラキラした笑顔の、女子生徒。


俺も生徒向けの“先生”の笑顔を作る。



「佐々木、おはよう。日誌か?」



「はいっ」



「えーっと……はい、これ。あ、あと、プリントも配っといて」



日誌とプリントを渡すと、佐々木は『わかりました!』と明るく答えて、職員室を出ていった。

 
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