花火
──リン、だ。
つい2日前に身体を重ねた、女──……。
まさか、生徒だったなんて。
てっきり、大学生かと思っていた。
ていうか、別人だし。
2日前とは全く雰囲気が違っていて、制服は規定通りに着ていてスカートも短すぎない。
まさに、優等生のいい子ちゃん。
…………おい……それは詐欺、だろ。
ぐるぐると目眩に襲われそうな気持ちがする中、リンは俺に目を向けたまま、にこっと笑った。
──初めて俺に見せる、高校生らしい笑顔。
いや、表向きには高校生らしい笑顔だけど、その裏には──
その瞳は楽しそうで、俺の心を揺さぶるのには十分だった。
──クソ、やられた──……。
きっと、リンは俺のことを知ってたんだ……。
知っていてあんなことを……?
何が目的だ……?
そう思っても、こんな場所で聞けるわけなんてない。
チッ、と心の中で舌打ちをする。
焦りを隠すように、俺はリンから目を背け、職員室から出た。