花火
「──中村は普段はどんな本読むんだ?恋愛?歴史?それとも──」
「何でもいいんです。……センセイが好きなものなら何でも」
「──……」
……ほんと、たち悪い。
余裕の表情で俺の中にすんなり入って来やがった。
この俺が押されるなんて。
ガキだと思っていたけど、一度ちゃんと話した方がいいかもしれない。
このまま曖昧にするのは良くない。
……それにポロっと暴露されて、教育の世界から追い出されるのはさすがに困るし。
釘を刺しておこう。
めんどくせぇけど、こうなってしまった以上、仕方ない。
そう決めてしまえば、肝も座るってものだ。