花火
*+.。.+*.。.
「──学校では真面目ちゃん、ね。まんまと騙されたよ」
「センセイだって同じでしょう?何匹もネコかぶっちゃって」
「俺のは社会人のマナーってやつだよ。試験に出るから覚えとけ」
中村はメモの通りに、日曜13時きっかりに俺の部屋を訪れた。
──こいつ、言葉とか態度は突っ張ってるけど、本当は根っからの真面目ちゃんじゃねぇのか?
時間は守るし、服装は派手なものではない。
学校でも見る限りは優等生だ。
……優等生すぎるくらいの、優等生。
何か……あるのかもしれないな。
ソファーに座る姿は……大人ぶってんのか足組んだりしてるけど。
「外は暑かっただろ?これ。飲んで」
テーブルにアイスコーヒーを入れたグラスを置き、中村の隣に腰を下ろす。
「ありがとうございます。──……変なもの、入れてないですよね?」
じっと俺の目を見て問い掛けてくる中村に、俺は首を傾げた。
は?
変なもの、って何だよ?
何か薬でも入れてるって?
「んなめんどくせぇことしねぇよ」
「──……ですか。じゃあ、いただきます」
中村がグラスに口をつけた瞬間、俺は意地悪心から口を開く。