花火
「──嘘。入れてるよ。……気持ちよくなるクスリ。また一緒に気持ちよくなろうか?」
「──!」
にやりと俺は笑う。
中村は俺の言葉が不意打ちだったのか、頬をピンクに染めて、俺のことをじっと睨んでいる。
「……ふ、かわいいねぇ。まったく。安心しろ。ただのコーヒーだから。で?男に捨てられたのは立ち直ったのか?」
「──……そんなの、どうでもいいことです。ていうか、センセ、立場弱いのわかってますか?」
中村は俺の言葉にカチンときたのか、急に強気になった。
──口や態度はどんなに大人ぶっていても、こんなことでイラッとするなんて、やっぱりただのガキだな。
にっこりと余裕の笑みを浮かべた俺は、中村の顔を覗き込む。
「……中村サン。それは脅し?」
「どうでしょうね」
得意そうに中村は言うけど……
ガキの戯言。
この真面目ちゃんに、言えるわけがない。
“私は田辺先生とエッチしました”、なんて言葉。