花火
「表向きは真面目。でも本当は真面目なんかじゃなくて、いろんなことが面倒で嫌で堪らない。そんな中身と表面のギャップに悩んでる……ってとこだろ。──あぁ、フラれた男にはそういうところを受け入れてもらってた、ってことか。だから、あんなに取り乱し──」
「やめてよ!!違う……、違うもん……!」
中村は両手で顔を覆って俯いてしまった。
──図星、だな。
……昔の俺を見てるみたいで、つい入り込んでしまう。
「──まさや。……フラれた男の名前だろ?」
「──!な、なんで、それを……!?」
俯いていた顔をぱっと上げる。
「──イク時、呼んでたから。俺とエッチしてる最中に他の男の名前呼ばれるなんて、結構ショックだったよ?」
「な……、バカ!」
中村は両手でピンクに染まった頬を押さえる。
あー顔真っ赤にしちゃって。
反応かわいすぎるし。
ころころ変わる表情や反応が面白くて、もっといじめたくなる。
……ていうか、なんだこれ。
かわいくていじめるとか、ガキみたいだし。
いつの間にか俺は中村を“めんどくさい”対象ではなく、“いじりがいのある、かわいい”対象として見るようになっていた。
こんな風に思うのは初めてで、単純に楽しくなっていた。