花火
実可子とは3年になってクラスが別になったんだけど、仲はいい方で、たまに会えば廊下で話したりもする。
……その場所に雅也がいることも多々あった。
私も実可子も文系で教室もそんなに離れてるわけではないから、他愛もないお喋りをしながら一緒に教室に戻っていた。
「え、また転んだのっ?実可子ってほんとよく転んでるよね!」
「足元見てないのかな~。この前バス停で転んだ時は人いっぱいいたし、ほんと恥ずかしかった!見て!これ、名誉の勲章!」
掌にうっすらと残る擦り傷を目の前に出してくる。
残るものではなさそうで、ホッとした。
「名誉の勲章って……もー実可子危なっかしいんだから。気を付けてよ?」
「うん、頑張るっ!」
にこっと実可子が笑っただけで、その場が明るくなったように感じる。
この無邪気で明るい雰囲気も私は持ってない。
何をするでもなく、その場を明るくできてしまうところも憧れる。
実可子といると、自分がコンプレックスの塊みたいに思えてくる。
でも、私は実可子みたいにはなれない。
いつだって、“頼れる凛”でいなきゃ、っていう自分がブレーキをかけるから。