花火
 

「ねぇねぇ、凛ちゃんって田辺先生に習ってる?」



「えっ?う、ううん」



実可子に話し掛けられて、先生に向けていた目線を慌てて実可子に戻す。


先生を見てたこと、バレてないかな……



「そうなんだ~。ね、先生!凛ちゃん、すっごい美人さんでしょ!?自慢の友達なんです!」



「!ちょ、実可子……っ」



突然何てこと言い出すの!


先生、ぽかんとしてるって!


こういうところもかわいいんだけど、TPOってものを考えてほしい!


大人っぽくなったのはあの一瞬の雰囲気だけで、中身はそのままだ……!



「……私、凛ちゃんに酷いことしたのに、許してくれて、すごく優しくて」



「!!!」



「……酷いこと?」



先生が首を傾げる。


こ、これ以上はマズイ……!


慌てた私は、我先にと言葉を言い放つ。



「や、そ、それはもう終わったことだから!もう忘れよ!?ね!ね!」



先生の目線が私をしっかりと捕らえていて、すごく気まずい。


ていうか、爆弾娘実可子!!!


そこまで暴露しなくていいのに!


これ以上、爆弾落とされる前にここから逃げるに限る!



「みっ、実可子、ちょっと付き合って!えと、先生、さようなら!」



「えっ!?凛ちゃん!?あっ、先生さようなら~!」



私は実可子の腕を掴んで、先生から逃げるように歩き出した。

 
< 78 / 178 >

この作品をシェア

pagetop