眠る湖(シリーズ3)

無理心中

○同、岩場
女性とが1人倒れている。半身水の中。
警官がしゃがんでいる。
木村、山田と担架が来る。

(警官)「まだ息があります」
(木村)「ふむ」
木村、しゃがむ。大声で、
(木村)「大丈夫か?おい、聞こえるか?」

悦子、ゆっくり目を開ける。
か細い声で、
(悦子)「山本君はどうなりました?」

(木村)「なに?山本?もう一人いたのか?えっ、おい」
悦子、ゆっくりとうなずく。
(木村)「担架、大至急病院へ!」

担架が置かれる。
木村刑事、警官に、
(木村)「もう一人いるらしい。
付近を徹底的に捜してみてくれ」

(警官)「はい、わかりました!」
敬礼して走り去る警官。
悦子が担架に乗せられている。

(木村)「山田、潜水班に待機を頼んどいてくれ」
(山田)「はい、わかりました」
山田、携帯をかける。
担架、悦子を乗せて走り去る。
木村、じっと湖面を見詰めている。

○岩場、夜
夜間照明が岩場を照らしている。
パトカー、救急車が止まっていて、
警官他十数名がいる。

(警官)「見つかったぞーっ!」
ざわめく人垣。
木村、山田、岩場の先端にいる。
脇に担架が控えている。

照明、水面を照らす。
潜水夫二人が男子生徒を担いで現れる。
(警官)「だめか?」

潜水夫、頭を横に振る。
ざわめく人垣。
担架に移される遺体。白衣の検視。

(警官)「だめだ、一人死亡!」
ざわめく人垣。

○病院、外
丸岡救急病院の看板が見える。

○同、個室、内
悦子がベッドで眠っている。
母、恵が付き添っている。
医師と看護婦が診ている。

木村と山田が入ってくる。
(木村)「失礼します。もう聞き取り大丈夫ですね」
(医師)「ええ、睡眠薬は全部吐き出してますし、
水もほとんど飲んでません。大丈夫でしょう」

(木村)「ありがとうございます」
医師と看護婦でていく。
木村と山田、ベッドに近づく。

恵、出て行こうとする。
(木村)「お母さんの恵さんですね。
差し支えなければいてあげてください」

恵、目礼してそのまま椅子に座りなおす。
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