【完】ヴァンパイアとチョコレート
「ちっ……」

ライルも軽く手をかざして細身の剣を握った。

剣はライルの意志に反応するかのように輝いている。

ミーナは目の前で対立する二人のヴァンパイアを見比べる。

(どうしよう……。多分、アンバードさんの方が強い……)

ミーナの考えている通り、純血であるアンバードの方が数倍力が強い。

ライルは半分人間の血が入っているので不利なのだ。

しかも今宵は新月ーー。

濃い闇がアンバードにより強い力を与える。

「ミーナ、今のうちに逃げろ」

ライルは低く掠れた声でそう言った。

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