【完】ヴァンパイアとチョコレート
「わ、私の血をあげるからもう止めて!」

悲鳴のようなミーナの声にライルは目を見開いた。

「ミーナ!?何を言っている!!」

ライルのこわばった声が森に響く。

「おや?キミがそんなこと言うなんて……」

アンバードは剣をかざしながらふふっと笑った。

「お願い……」

ミーナは後ろに持った十字架をぎゅっと握りしめる。

「へぇ~?キミはずいぶん献身的なんだね」

赤い瞳が弧を描く。

(この人、状況を楽しんでる……)

ミーナの頬に冷や汗が流れ落ちた。

ーーもう、後には引けない。

「ミーナ!ダメだ!逃げろ!」

ライルは叫んだが、アンバードは軽くジャンプしてミーナに近づいてくる。

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