【完】ヴァンパイアとチョコレート
それはライルも思ったようで軽く笑っている。

「くっ……お前は落ち着いているようで結構パニックになりやすいんだな」

「だ、だって……」

(この状況なら誰だって混乱するよ!)

憮然とした表情のミーナを面白そうに見てライルは真顔で話し始めた。

「お前が昨日の夜体験したことは夢じゃない。俺と一緒の部屋にいたことも、お前がその部屋を出て行ったこともすべて現実だ」

「うそ……」

「嘘じゃない。本当に起こったことだ」

ライルはぶっきらぼうに言うと紅茶を飲んだ。

「あの後、ご主人は君をずっと探していたんだよ」

ライルの膝の上に載っていたルネが助言するように言う。

「私を探すって?」

「……今から魔界について説明する」

ライルはふーと息をついて話し始める。

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