蜜事は研究室で
蜜事は研究室で
《ねぇ、帝先輩。先輩はどうして、そんなに研究熱心なんですか?》



椅子に座ってプラプラと足を揺らしながら、どことなく不機嫌そうな顔で、そう訊ねる。

……ああ、あれは、わたしだ。

まだこの研究室に通うようになって間もない頃の、わたし。


シツチョーはこちらに背を向けて何やら机で作業しながら、んー? と言葉を返す。



《そうだなぁ……夢のため、かな》

《……夢?》



やはりこちらを振り向かないまま、シツチョーは頷いた。



《そう、夢。というかシーナ、何度も言うようだけど、ここでは俺のことは室長と呼びなさい》

《……シツチョーにも、夢ってあるんですね》



彼の口からそんな単語が出たことが意外に思えて、わたしは目を瞬かせる。

そこでようやく彼は、キャスター付きの椅子を動かし、くるりとこちらにからだを向けた。



《そりゃあるさ。俺はねシーナ、将来的にロボット開発に重きを置いて、その活動の一環でおもちゃの開発もしたいんだよ》

《……おもちゃ、ですか?》



またまた意外な単語が出てきて、首をかしげる。

彼は頷き、どこか遠くを見るような瞳で、話し始めた。
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