流れ星になったクドリャフカ〜宇宙で死んだ小犬の実話〜
 列車の窓枠に肘をかけ、景色を眺める。

 国に帰ったら、仕事を探して……しばらくは実家に居候だろうか。

 きっと、親もスプートニク2号の話に沸き立っているだろう。

 早くアパートも見つけないとな。

 どこへ逃げても、追い掛けられる。

 決して逃れられない。

 まるで月か太陽のようだ。

 走っても走っても、空からは逃れられない。


「そりゃ、そうだよな……」


 逃れられない。

 宇宙から、この世界から。

 逃げても逃げても追い掛けてくる、スプートニク2号、クドリャフカ。

 だって、衛星の軌道に乗っているんだから。

 あれは、月だ。
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