deep forest -深い森-

「は、は。深見の跡取り殿は世辞もうまくなったようだな『昼間から酒を浴び女を抱くだけの男が芸術家とは笑わせる』そう言って泣いていたのはつい昨日の事だと思ったが」


そう言うと涼はにこりと笑い、葡萄酒を美味しそうに飲んだ。


「それだけ飲んでいれば毒薬を入れても気付くまいとだけ言わせてもらおうか。深見には敵が多い。オヤジ殿はもっと慎重になるべきだ」


涼の厭味などまるで効いていない園生。


「隣にいる女を毒見役として置いておくのであれば文句もないが」


「成程面白い事を言う。これからはコイツに先に飲ませる事にしよう」


「ああ、英断だ」


二人の話を聞いて、女は眉をしかませた。




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