その衝動の果て…【完】
そして、最後の3番目の父親。

アイツを父親と呼ぶべきなのか?だってアイツは人間じゃない…

神のような存在で、僕の全てを握る。

僕にとっては無視することが許されない特別で、それでいてうっとおしい存在だ。


母がアイツと再会した時の記憶をのぞいていた時、

翌日新幹線に乗り込む母をのぞいていると…

目の前の景色が突然変わった。

透明な仕切り越しに切なげに母を見下ろす漆黒のローブをまとった背の高い男。

さっきまで母と一緒にいたはずのアイツだった。

僕はいつの間にかそいつの隣に立っていた。


「誰?」

僕はアイツに向き合った。

アイツはさっきの険しい表情が緩み、穏やかな笑みをこっちに投げかけてきた。

「そういことだ。今はまだ早すぎる。時がきたらまた会おう」

『その日まで…

穂香を頼む』

彼が右手を振ると同時に、僕の視界からアイツが消えた。

そして、僕もその場から消えた。

これが忌々しいアイツとの初対面の記憶。


それからアイツを探ろうと、母やオヤジからその情報を引き出そうとしたが…

何故かそれぞれが知る昔の記憶しかわからなかった。

アイツはそれから本当に約束のその時まで、全く僕の前に現れなかった。

そしてその次に現れた時、

アイツは、僕の背負う大きな十字架をこともなげに暴露されることになる…
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