その衝動の果て…【完】
僕は神に選ばれた存在だと思っていた。

人の心をのぞき、何でも思い通りにできると、

自分は万能だと勘違いした。でもただこいつの操り人形なのか?

でも僕は僕であって、アイツではない。

僕には僕の感情があって、僕の考え方があるはずだ。

でも、それすらアイツの感情で、アイツの考え方なのか??

母への異常な執着は、アイツのものなのか?

本当に全てが分からなくなりそうだ。自分自身すら信じられなくなりそうだった。


「こんな自由で都合のいい役目って、僕が代われるものなら代りたいよ。

でも僕には本来の生業(なりわい)があるから、

お前を代わりに創って送り込んだんだ。

だからほうちゃんが僕の所に還ってくるまできちんと見守っててね。

あとその能力(ちから)、今みたいに

あんまり滅茶苦茶し過ぎたら神様に怒られるよ。

取り上げられたら色々面倒でしょ。だから程々にね。それは忘れないで…

じゃ、それだけだから」


突然目の前に真っ白な光が再びさした。

そのあまりの眩しさに、思わず目を細めた。

『ばいば~ぃ』

その軽い言葉と共に、光に弾かれるように僕の体が宙に浮いて、

その次に何かに沈み込んだ。


気が付いたら僕は自分の部屋のベッドに戻っていた。

僕は突然無理矢理に手を引かれ、訳の分からないことを浴びせられ…

突然現実の世界に戻された。
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