その衝動の果て…【完】

母の事

僕の母はまだこの世に生まれる前、魂の時にアイツによって見初められた。

本当なら母はオヤジと大恋愛の末

卒業後しばらくして結ばれる運命だったらしいが、

アイツに見初められたその時から、

母もオヤジもアイツさえも、それぞれの運命が

大きく変わってしまった。


人の生死を司るアイツは、魂のまま母を伴侶として自分の手元に置きたがり、

それを神様に懇願したが叶わなかった。

どこに生まれ変わるかを決めることのできるアイツでも、

神様の決めた「生まれ変わる」という事実を覆すことはできなかったからだ。


その代わりに生まれ変わった人間としての母としばらく過ごす時間を許された。

それが眞人に乗り移って母と過ごした2年ほどのこと…

その後、20年後勝手に眞人を使ってもう一度母に会いに行き、

それを見つかり咎められアイツは、

神様から母がこの世にいる間は会うことを禁じられる。


勝手に会いに行った時、この世に僕が生まれる事が決まり…

僕もこの3人の運命に巻き込まれることとなる。

それはアイツにとっても母にとっても誤算だったが、

結局そのことを逆手に取って、

アイツは自分自身から僕を創り、その魂を母のお腹に入れた…

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