その衝動の果て…【完】
『10年後…

まだずいぶん先だな』

『眞人とお前は何の関係もないだろう』

あの男、そうまさととか言ったっけ?

『僕とそいつには何かあるって…

オヤジは思ってるんだろ?気づいてるんだろ?』

『は?』

『オヤジの思ってることがおそらく真実なんじゃない?

母さんの中もみてみたけど、当たらずも遠からじだよ』

『なんで…』

あからさまにオヤジが動揺している。

僕はそれに追い打ちをかけるように続けた。

『僕はいつか何があったのか、真実が知りたい。

僕が何者なのか?どうしてこんなことができるのか?

ただ、知りたいだけなんだ』



「いつき、こっちにおいで」

オヤジが僕を手招きしたが、

僕は冷たい視線で含みのある微笑みを一瞬浮かべ、

『お前みたいに母さんの事を裏切ったやつと、もうこれ以上

こうやって話をするつもりはない』

頭に直接吐き捨ててやった。

『は?裏切る?俺がほのかを?』

『世間じゃそれは裏切ったとは言わないのかもしれない。

でも、僕は許せないし、一生お前を許さない』


そして、母の方に振り向き知らん顔ですり寄っていった。

『許さないって何をだ?そして眞人、また、またお前のなのか?』

オヤジは、宙に向かってそう心の中で恨み言をつぶやいていた。

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