魔法のキス


いい奥さんになるかな?わたし。
そう言いかけてやめた。



現実的にまだまだそういうことは無理だから。
言葉にすると悲しくなる。



「なんだ?また暗い顔してるぞ」


雄馬は私の表情にすぐ気がつくのね。


「なんでもない」


「あっ、朝俺が起きなくて朝からエッチができなくて怒ってんの?」


「なっ!雄馬じゃあるまいし、なんで私が!」


「あははは。それにしてもこの部屋広すぎじゃね〜か?一人暮らしの部屋じゃね〜ぞ」


「仕方ないのよ……」


「俺もここに住もうかな」


「はっ?ここから神戸に通うつもり?」


「無理か?あはは」


「無理に決まってるじゃないの。それに……」


「わかってるよ。お前の両親が許すわけねぇし、冗談だよ」


そうできたらほんとにいいのに……。



なんだか幸せなのに、悲しい気持ちになってしまう……。



あんまり悪いように考えないようにしなくちゃ。


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