蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「き…っ!」

流石の雛罌粟も、悲鳴を上げずにいられない。

正に甲高い悲鳴を上げようとした、その時だった。

「!!!!!!」

バスタブの中から、無数の蒼白い手が伸びてきた!

先程の顔同様に水にふやけたような、皮膚が水ぶくれのようになった数十本の手が、雛罌粟の長い黒髪を、制服を、腕を、一斉に摑む!

「やっ!きゃあぁあぁあぁっ!」

「ひ、雛罌粟さんっ?」

バスタブからの激しい水音、そして彼女の悲鳴で、俊平達もその怪異に気付く。

水面から伸びている無数の気持ち悪い腕、その腕が、雛罌粟を引き摺り込もうとしている!

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