[完]俺様くんがスキなんです!!
「ねぇ風磨?」
「あ?」
「ありがとね、誘ってくれて」
「ああ……」

美紅って……よくそんなに礼を言えるよな……。

「今日来てよかった」
「え?」

美紅の顔を見ると何か寂しそうに俺を見ている。

「私……風磨に会えてよかったよ……」

美紅の目にはうっすら涙が溜まっている。

「おい!?美紅……?どした?」
「ごめんね……風磨……」

美紅の頬をゆっくりと伝ってく雫。

「何で泣くんだよ?」

俺何か悪いことしたか……?

「ごめんなさい……でも……でもぉ……」

ーグイッ

泣きじゃくる美紅を引き寄せて優しく包み込んだ。

「風磨ぁ……?」
「美紅心配すんな、俺はここにいる」
「え……?」

美紅が俺の前で泣く時は不安な時だけだ。

だから……俺は……美紅をこの手で抱きしめてやんないとダメなんだ……

「大丈夫だから、な?」
「う……うううう……思い出しちゃったの……」
「思い出した……?」
「グスッ……私陸人と初めて遊んだ時……花火をしたの……」
「ああ……」
「春だったけど……花火をしたの……それで……私手火傷しちゃって……」
「それで?」
「そしたら……陸人が冷やしてくれて……その後、二人でここに来たの……だから……思い出しちゃって……」
「そっか……」

こいつは陸一度って奴の傷が半乾きなんだな……。

じゃあ……今度は俺がそれを埋めてやるよ……。
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