いつも同じ空の下で
「ジュリ。もうすぐだね」
紅茶を優雅に飲みながら、ユウキがニコニコして私の顔を覗き込む
その姿を見て、おもわず首を傾げた
「テストが?」
「ちーがーう!! ヨシキが来月イギリスから帰ってくるんでしょ!!」
「あっ! うん、そうなの!!」
得意の悪代官の様な笑み浮かべたユウキに満面の笑みを返す
その事を考えただけで、胸がポカポカと温かくなる
――ヨシキがイギリスに行ってから、もうすぐ4年が経つ
4年という月日は恐ろしく長い様な、風のように過ぎた様な、そんな不思議な感じだった
その4年の月日の中でも、ヨシキを想わない日は1日もなかった
ヨシキとはたまに電話で話しては、お互いの近況を話したりした
イギリスでの生活は最初の1年はとても大変そうだった
慣れない土地で言葉の壁や文化の違いに苦労していた
そのせいか、なかなか連絡が取れず不安な日々を過ごした
2年目からは少し慣れてきて、たまに絵葉書で手紙を送ってくれる様になった
オレンジ色に照らされたビックベン
赤い上着に黒熊の毛皮の帽子の歩兵隊の行進
広い湖の周りを囲む濃い緑の森
絵本の世界から出てきた様な西洋のお城
こんな景色をヨシキが見ているんだと思うと、遠いイギリスがなんだか近くに感じた
そして、貯まっていく絵葉書は私の宝物になった