不滅の妖怪を御存じ?
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カーン、とまた小さな鐘が鳴る。
答案用紙が回収され藍はグッと伸びをする。
とりあえず分かるところだけ埋めておいた。
筆記試験は点数を取れなくてもいいと佳那子の言葉があったのでだいぶ気が楽だった。
それよりも試験中藍の隣で一人百面相をしていた男の子の方が気になっていた。
彼も試験官のようだったが。
藍がぼんやりとしていると、試験官の鋭い声が飛んできた。
「次は実技試験です。部屋を移動しますので、ついてきてください。」
その声を合図に、六歳の子供たちはぞろぞろと席を立つ。
そうして全体が動き始める。
移動中もチラチラと視線は藍の方に飛んでくる。
「なんでこの大きな人がいるの?」という子供の純粋な視線。
これはこれで辛いな、と思いながら藍も席を立つ。
カラン、カラン、といくつもの小さな下駄の音が廊下に響く。
一人だけスニーカーの藍のペタペタという足音も。
「一列に並んで待っていてください。」
通された部屋は先ほどよりも一回り大きかった。
佳那子が話した通り中心には何かお札が貼られた石が置いてある。
そして反対側には試験官。
その中に佳那子の姿を見つけた。
藍が微笑めば佳那子も笑い返してくれる。