不滅の妖怪を御存じ?





「医療というものはもともと気に食わなかったのだが、最近ますます気に食わないものになってきておる。例えば、延命治療。」

ぐわん、と鐘を鳴らすような弓月の声。


「機械に縛られ、薬漬けにされてまで生き延びる必要性がわたくしには全く分からん。生まれる者あれば死ぬ者もいる。生き物の定めに人間は何故あんなに必死に抗うのか。」


弓月は医療が嫌いだ。
もっと大雑把に言うと、機械とか、人工的なものが嫌いだ。

藍はフライパンを熱しながら口を挟む。


「誰だって長生きしたいでしょ。」

「分からぬ。人間がそこまでして生きながらえる価値のある生き物だとは到底思えぬ。」

「いや、価値とかじゃなくて、もっと本能的なものだと思う。」

ジュッと醤油が焦げるいい匂いがする。




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