不滅の妖怪を御存じ?



「休日はよくここに来てるみたいですしね。」

「紫月なんでそんなこと知ってんだよ。」

「千秋さんから聞いたので。」

「おい千秋。」


まさか自分の休日の過ごし方が佳那子と紫月に筒抜けだとは思わなくて桜は顔を歪める。


「桜の休日の行動が不思議だったから三人で理由を考えてみたんだよ。」

「はぁ?」


しれっとした顔で汚れた足を拭いながら千秋は言う。


「本屋行って服買ってゲーセン行って最後に仁和寺に行くって、どう考えてもおかしいよ。」

「人の休日なんだから好きにさせろよ。」

「休日じゃなくても仁和寺ならいつでも行けますよ。西口十七番です。」

「知ってる。」


むすっとした顔で桜は御殿の中に入った。
ギシギシと少し音が鳴る渡り廊下。
床は冷たい。





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