不滅の妖怪を御存じ?
「ここ、仁和寺御殿の裏側じゃないの?」
佳那子がそう言って斜め前を指差す。
確かにそうらしい。
渡り廊下とその下に生い茂る草木が見えた。
「人はいないようですね。」
「鬼道学園に行ったはずだよ。九木は妖力を感じられない程遠くに行ったみたいだけど、安全とは限らないし、状況を確認する必要があったんだろうね。」
千秋と紫月はそう会話しながら服に付いた泥を落としている。
途中天狗に追いかけられ必死で走ったせいか泥はねが酷い。
「とりあえず、中に入って落ち着こうぜ。」
桜がそう言えば他の三人も動き出す。
走ったせいで疲れていたし、泥のせいで服は汚れている。
こんなに汚い四人が中に入っていいのか躊躇ったが、まぁいいかと思う。
生い茂る草木を眺めながら歩いていると、後ろから佳那子のクスクス笑いが聞こえた。
「桜くんって仁和寺好きだよね。」
え、と桜は思わず固まる。
佳那子の言葉に続いて「確かにそうですね」と紫月が相槌をうった。